パーキンソン病に対する手術(深部脳刺激療法)
神経難病の一つであるパーキンソン病。何もしていないのに手や足がふるえる振戦、体がこわばる固縮、動作が遅くなり動きにくくなる寡動・無動といった運動症状が目立つようになります。適切に診断されると、薬剤治療により劇的に症状が改善します。しかし5年10年と経過すると、病状が進行し、薬が効いている時間が短くなります。生活の中で動きにくい時間が増え、薬の量や種類、回数を増やして対処します。薬を増やすと、体が不随意に動いてしまうジスキネジアや幻覚といった副作用を招くようになり、薬剤のみでは治療が難しくなってきます。
私どもの施設では、2003年からパーキンソン病に対する脳深部刺激療法を行っています。脳内に刺激電極を挿入し、脳の一部の組織を持続的に電気刺激します。パーキンソン病の運動症状が軽減して、動きやすい時間が増え、生活を改善します。患者さんによっては薬を減量することで、副作用を減らすことも期待できます。治療は手術により刺激電極と脳刺激装置を体内に植え込みます。対象は進行期パーキンソン病の患者さんで、年齢は70歳前後までです。脳刺激装置はMRI対応ができるものになりました。脳神経内科やリハビリテーション科と共同で治療しています。
2020年までに380人の患者さんが治療を受けられました