正常圧水頭症

正常圧水頭症(大人の慢性水頭症)とは

高齢になってから次第に歩くのが遅くなり、ふらついたり、止まれなくなって転倒しやすくなる、また歩幅が小刻みになったり、すり足のような歩き方や足がすくんで前に出ないになる場合があります。このような歩行障害に、物忘れや自発性の低下(認知障害)、あるいは尿漏れ(尿失禁)などの症状が加わってくることがあります。

これらは高齢者ではよく見られる症状なため、正常圧水頭症が疑われないまま見逃されていることが多い病気です。60歳以上の高齢者人口の1%くらいが正常圧水頭症の可能性があると試算されていますが、実際にはその10分の1くらいの患者さんが病院を受診して治療を受けています。

正常圧水頭症は、造影剤などを使わない頭部CT検査で疑いがないかどうかを簡単に判別できます。疑いがある場合には、さらに詳しいMRI検査(図)やタップテストなどが行われ、髄液シャント手術によって症状が改善する見込みがある患者さんには手術をお勧めします。

髄液シャント手術には、溜まっている髄液を腹腔内に流す脳室-腹腔(V-P)シャント術と腰部くも膜下腔-腹腔(L-P)シャント術が一般的に行われていますが、腹腔内に癒着や炎症などの問題があり髄液を流せない場合には脳室-心房(V-A)シャント術で治療します。

できるだけ安全で低侵襲の手術となるように、術前の画像を使ってコンピューターシミュレーションを行います。

治療は手術をして終わりではなく、適量の髄液を流して積極的に運動(歩行)を行うことで症状が改善していきますので、手術後少なくとも1年間は通院治療が必要となります。

図:正常圧水頭症(大人の慢性水頭症)の3D MRI